ある作曲Vtuber(わたし)が、活動半年で依頼の途切れないクリエイターになるまでの記録

ごあいさつ

「バーチャル作曲ねこ」の橙ミャオです。
今回は「わたし自身」にフォーカスした記事を書いてみよう、ということで。

橙ミャオが活動を開始したのは2020年3月末のこと。
そこから半年後の2020年9月から現在に至るまで、ずっとご依頼が「3か月以上待ち」というありがたすぎる状態になっています。
わたしは専業で作曲家をやっているスタイルとは違うので、超売れっ子!っていうわけではまったくないのですが、それにしてもこれは我ながらうまくやったなあ、とおもったので……

この恵まれた状況を手に入れる過程で、
わたし自身がなにをやってきて、なぜそれがうまくいったのか?
言語化してまとめることには、わたし自身にとっても一定の価値があるな、というところで、
実際に文章化してみたシダイです。

 


1.まずはとにかく作品の数を確保すること

「依頼を受けたい作曲家」が一番最初にやるべきことはなにか?
といえば、やっぱりそれは「ポートフォリオ」をつくること。
そしてポートフォリオをつくるために必要なのはなにか?
それは「作品」をつくること。

やったこと

文字通りゼロからのスタートとなった橙ミャオは、
まずは2020年4月~6月の間に実に24曲の楽曲をTwitterにアップロードしました。

Twitter作曲界隈には「深夜の2時間DTMという企画がありまして。
22時から24時の2時間で、日替わりのお題に沿った作曲をこなしていくという企画で、
毎回50人、あるいはそれ以上の方が挑戦していらっしゃるおおきなイベントです。

初期の橙ミャオがつくった24曲のうち、
大半はこの「深夜の2時間DTM」企画でつくった楽曲でした。
企画に参加することで、「最近かわったVtuberが出てきたらしい、作曲をするらしい」
という認知を広げていくねらいがありました。

やった結果

結果的には、この企画に参加をつづけたことが、
作曲界隈に対してもVtuber界隈に対しても、いい意味で「異物」として認知されたのではないかな、とおもっています。
特に当時すでにゲーム配信が中心的だったVtuber界隈からすると、
ひたすらに楽曲をつくりつづける橙ミャオはなかなか奇異に映ったようです。

この「良い意味での異物感」を大事にしよう、というのが、
当時からいまに至るまでの橙ミャオの活動指針のひとつになっています。

2.無料BGMによる中長期的な認知導線の確保

橙ミャオの活動のメインコンテンツのひとつとして、
いわゆる「フリーBGM」と呼ばれているコンテンツの制作があります。
配信者さんや動画クリエイターさんが無料で使えるよ、っていうやつですね。

これを始めたのもかなり活動初期、
2020年4月のことでした。

 

やったこと

2020年4月~6月の間に、
YouTubeに15曲のBGMを「配信・動画に無料でつかえるBGM」としてアップロードしました。
もちろんYouTubeで直接楽曲をダウンロードすることはできないため、
楽曲をダウンロードする際の窓口として「BOOTH」を使用することにしました。

 

やった結果

これは非常に反響が大きかったです。
2020年の夏ごろには「橙ミャオの無料BGM」がとくにわたしの同期のVtuberさんたちの間でかなりの認知を獲得し、配信や動画で使ってもらえるようになりました。
使用実績をTwitterで宣伝することによって、「橙ミャオの無料BGM」が最近アツいみたいだぞ、っていうイメージを刷り込んでいけたことで、
指数関数的に使ってもらえる頻度が増えていった印象でした。

それと同時に、「自分専用のBGMを作って欲しい」
というVtuberさんからの問い合わせが増えていった印象です。

3.顧客ターゲットの絞り込み

すでにBGM依頼の問い合わせが来はじめた状態、そうなればもうこちらのもの。
けれども、わたしの場合はBGM依頼だけではなく、歌ものの依頼も並行してやっていきたいな、という考えがありました。
依頼仕事の幅を広げることで露出を増やし、息の長いクリエイターとしての体制を整えていく、というのが狙いです。


やったこと

Twitterでの情報発信を「Vtuberさん向け」にやや偏らせることによって、
わたしはVtuberさんを相手に依頼仕事をやっていますよ、というところをイメージ戦略として明確にしていきました。

また、Vtuberさんからのご依頼の成果物に関して、できるかぎり権利を譲渡せずこちらで保有することによって、
(もちろん本人様からご許可をいただいたうえで)YouTubeに「お仕事サンプル曲」としてアップロードするようにしました。

と同時に、Vtuberさんの「オリジナル曲」を制作しますよ、
というような宣伝にも少し力を入れていきました。

 

やった結果

2020年9月ごろにはVtuberさんからのBGM制作依頼・歌もの楽曲制作依頼が、
どちらもバランスよく来つづける体制ができあがりました。
非常に望ましい結果が得られたので、今でもこのバランスを維持しつづけられるように、情報発信のしかたや宣伝のしかたには気を付けています。

 

なぜうまくいった?

こうして書き出してみると、やっぱなんだかトントン拍子すぎるような。
どうしてこんなに順調にいったのかというのは、色々理由があるとはおもうのですが……
わたしなりに思うところをいくつか。

わたし自身がVtuberだった

たぶんこれが一番おっきい。

上述したように、わたしは顧客ターゲッティングをある程度意図してVtuberさんに絞り込んでいった側面があって、
それがどうしてかというと、そのターゲッティングにおいては「わたしがVtuberである」っていうことがけっこう大きなアドバンテージになることに気づいたから、っていうのがありました。

Vtuberさんとしては、なにかものを依頼する相手が自分と同じVtuberだ、っていうのはそれだけで安心感があるもので。
とくに「Vtuber文化や、配信・動画制作についての理解度が高い」ことがある程度最初からわかっているというのは、それだけでクリエイターとしてわたしを選ぶおおきな理由のひとつになりうる、ということがわかりました。
実際2020年あたりは、あまりVtuberの文化について理解が深くないクリエイターと、Vtuberとの間でのトラブルというのも何件か発生しているのを横目で見ていた時期でした。今はもしかするとそこまででもないのかもしれないですけれど……

 

そもそもわたし自身が、幅広くものを作れるタイプのクリエイターだった

クリエイターとひとくちに言っても、色々なタイプのひとがいて。
「このジャンルなら100点取れる」っていう特化型のひともいれば、
「どれつくっても75点は堅い」っていうオールマイティ型のひともいます。

わたしは後者だと自己分析していて。
基本的にオールマイティ型のクリエイターは、特化型のクリエイターと比べると短期的な集客には苦労する傾向にあるんじゃないかとわたしはおもっています。明確な武器がないと、顧客サイドからすると「敢えてその人を選ぶ理由」を作り出せない、というのがその理由です。

ただ、そこで活きてくるのがわたし自身が持つ「Vtuber」という属性。
これが先述の「明確な武器」としての機能を果たしてくれるおかげで、
その万能性が猛威を振るう、というわけです。
「音楽系ならどんな仕事でもある程度こなせるVtuber」は、おなじVtuber目線から見るとぜひ仕事を頼みたい相手に化けるわけですね。

 

おわりに

わたしなりにわたしの歩んできた道を振り返ってみて、
なんでこういう選択をしたんだっけ、というところにも踏み込んでみました。
7割ぐらいわたし自身のための文章なので、めちゃめちゃよい振り返りになりました。

残り3割はこの文章を読んだときになるほど、そういう考えかたや行動のしかたがあるのか、
っていうかたがもしいたら……みたいな、そんな気持ちです。一応、参考になるといいな、っていう気持ちで書きました。

2022年5月現在も依然として依頼5ヶ月待ち(!)というとんでもない状況です。わたし自身正直しんじられん。
そんななかで、空いた時間をつかって今までとはすこし違うムーブをしている側面もあったりします。ひとのオリジナル曲じゃなくて、「橙ミャオ」自身が発信主体としてオリジナル曲をつくるとかね。

こういう今までと違った行動に出ているのにも、明確に理由はあったりするのですが、その話はまたいずれ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
こういう文章はまた書きたいな、とおもっています。自分のためになるので!